Memo of book

デュシャンは語る』マルセル・デュシャン
聞き手 ピエール・カバンヌ 訳 岩佐鉄男小林康夫ちくま学芸文庫)1999年

目次
  《まったく驚くべき一生》
  八年間の水泳訓練
  何か別のものへの窓
  「大ガラス」を通りぬけて
  働くよりも呼吸していたい
  カフェのボーイの生活をおくっています

      • 一九二六年は、大ガラスにひびがはいった年ですね。

 私がいないあいだに、ブルックリンの美術館で開かれた国際展にそれを展示したのです。それの所有者だったキャサリン・ドライヤーへそれを送り返した人たちは専門家じゃなかったのです。よく注意をしませんでした。二枚のガラスを、一枚を他の一枚に重ねて、トラックに、箱に入れて寝かせて、まあ多少ちゃんと梱包して、でもそれがガラスなのか、マーマレードなのかわかりはしないわけです。六十キロも走ったら、それこそ本当にマーマレードになってしまいました。ただひとつ奇妙だったのは、二枚のガラスは一枚が他の一枚の上に載っていたのですが、ひび割れが、ちょうど同じ場所にはいっていたことです。(P.156)

目次じたい 魅力的であった。