Value and price 価値と価格

果たして百均の商品は高いのか、安いのか。お叱りを受けたので、少し考えてみる。
まず品物。私も百均をよく利用する。この前も教室でクリスマスリースを作る時に、リースと飾りに使った。リースは夏に川などでツル系の植物を巻いておけば良かったのだが、怠ってしまった。子どもとやるばあいトゲ対策やアレルギー対策に悩まされる。
今回は年賀状シーズンなので、教室で紙版画をする。版画用絵具の話。私が版画用絵具にこだわっていると「百均の版画用絵具とサクラ版画用絵具の違いは何か?」と尋ねられた。一瞬困ったが、以前に比較した百均の普通の絵具とサクラ絵具の違いを述べた。生徒さんのお母さんたちの前で二つを比較して塗ってみたのだ。私の結論はチューブの違い(1年以上たつとメディウムのようなものが表面に染みてきた)と、色自体の違いというもの。色自体は混色すれば解決する問題かもしれない。実験で百均の絵具の方がのびが良い、と答えた方もいた。それを述べておいたが、やはり根拠としては不十分であった、とやや反省。三原色ではなく「茶色」で実験したので、それもあやしい。しかし、三原色の「赤」「マゼンタ」100%というのはあるのか?どう見えるのか?

次に働き手。百均店鋪のパートで見かけるのは殆どが女性だ。よく言われている日本の女性労働の年齢別グラフはM字曲線、少し前は学歴によってキリン曲線と言われていた。グラフが急激に上がって、結婚、出産でガクッと落ちるラインが、キリンを横から見た姿に似ているからだろう。その学歴別にしろ、やんわりあるいはガクッと落ちた後の女性が、雇い主からみて変化に対応しやすい労働力としてストックされ、再びどのような曲線を描いているのか、現在の呼び名はわからない。とにかく女性労働市場経済に左右されているのは実感する(「家父長制と資本制」上野千鶴子)。

結局「百均の品物のどこが悪いのか」という問いかけは、道具と値段と貧困の関係を一旦切り離し、私も利用できなかった「自立支援」についても再考を促されることとなった。


●参考ページ:
 奢侈禁止令、四十八茶など
  http://www.bb.em-net.ne.jp/~maccafushigi/mac/20.htm
 キリン労働力曲線
  http://www.asahi-net.or.jp/~fd5s-fjmt/scrapbook/column/01_gender1.html
  http://www.rieti.go.jp/jp/events/bbl/02030601.html
 道具のことは道具屋さんに聞こう 道具屋さんの本
  http://www.acetate-ed.net/bookdata/003/003.html