ずらし_何がずれたのか

国民投票法案の与党案が衆議院特別委員会を通過した。憲法改正の為の手続き法案だ。衆議院本会議に移され、採決の後、参議院に送られる運びとなる。そもそも「手続き」を審議するための「手続き」に問題はなかったのか。
衆議院を構成する議員を選出した国政選挙2005年9月11日の時点では、争点は郵政民営化だった。自民党自体が賛成派と反対派に割れていた。党内の堅固な反対派を落選させるべく、落下傘部隊よろしく自民党「本隊」から送り込まれた対抗候補者たちは「刺客」とよばれ、地元にセンセーションを巻き起こし、変革が実現するというイメージが刷り込まれた。結果、自民党が圧勝した。それによって郵政民営化は認証済みとされ、次なる法案成立に向けて数をまとめるべく、反対派で当選した議員への自民党内での懐柔、処分と復党問題が前景化した。反対派の議員は踏み絵を踏まされ、平沼赳夫議員を除く党員は元のさやに収まることとなる。事はこのように扱われ、反対派に投票した市民は、郵政民営化と反対した地元議員の信への、二重の齟齬が残るのでははいか。
広島の選挙区では亀井静香氏を追いつめた対立候補の元ライブドア社長堀江貴文氏の、奇抜な起用とその後の事件、国策捜査と言われた末の逮捕劇にも決着がついていない。わずか5ヶ月の間に見た、起用と接戦、落選と切り捨て、のグレーな基準は明らかにされたのか。
当初の問題、政治の争点の移動、ズラシは信任されていない。不信任を経て「手続き」は行なわれ、いつのまにやら郵政民営化から国民投票法案へとずらされた。
一体どこまでズレていくのか?

4月8日の統一地方選兵庫県議会選では応援していた護憲と議会改革の市民派のいなむら和美さんが当選された。