[本]
三木成夫著『胎児の世界』(中公新書 2004年版)を読書中。
米食に変えたら舌が変わって副菜まで変化していった様子など、中毒になりそうな面白さです。
なかでも造山運動と上陸の形象、鰓(えら)、鰾(うきぶくろ)の自然誌の記述と分厚い知識と想像力に圧倒されます。ニワトリの卵の有精卵は4日目に衰弱することの意味の、養鶏家の常識と若かりし頃の学者のミクロで壮大な挑戦、鶏卵を観察しているのに本当にニワトリの顔になってびっくりしたり(つまり卵の中では胎児は生物の歴史を猛スピードで再演しているので何になるのかわからないという、発生的な見方をしている)、巨大な地殻の震動によって壊滅した生命の「怨念」と「托し」という形容など、ぐいぐいと引っ張って行いかれること間違いなし(途中なんですが)。

[日常]
なかなか手紙を返してくれない母にわけを聞いてみたら、次のような次第であった。
「高資格も持っていて(手にまめもあったくらいなのに)何で筆不精なのか」
「(書類の)マスの中を埋めていたんだよ」
するすると書き出すことの難しさを知る。