「視聴と意見交換会」と言っていいものかどうか、国立国際美術館で開催された「先生のための美術館活用」云々というイベントに行ってきました。正確には通りすがりで見かけたので、「パンフレットがあれば頂けませんか」とお聞きしたら、「どうぞご覧下さい」、「それでは」という流れです。

内容は「ルーブルDNP」の映画鑑賞と教育普及担当の方のお話と質疑応答で、学校の美術教師たち、大学の先生、プライベート教室の先生などが参加されていました。美術館鑑賞映画(ドキュメンタリー?)の鑑賞。

映画はルーブル美術館とフランスの地域の学校・生徒との関わり、活用・連携の様子を一年にわたって撮影したもので、撮影に参加していたのはごく普通の高校生ということでした。どの学校にも「クラス・ルーブル」という特別クラスが設けてあって、将来とくに芸術に進路をとるものばかりでなく、ごく自然にそういったクラスを選んで来るそうです。

さすがにパリというか、美術館と学校の子ども達との距離が近く、モナリザダヴィットの「メデュース号の筏」の本物を前にして議論する生徒さんたちがなんともうらやましい。

一年間ルーブル美術館と学校で学んだ後、最終目標をどこにおくのかが気になるところですが、その撮影に参加していたクラスでは、各生徒がそれぞれに自分のお客さんを招待して、選んだ絵画を解説をする、というものでした。映画のラストに近いところで少女がムリーリョの「蚤をとる少年」を必死に解説しているシーンでは、思わず以前に読んだラスキン(関連のブログ)を思い出しました。もちろん彼女の意見は素晴しく選んだ絵画に好意的でした。

ラスキン(関連のブログ)_ルーン川のほとりで
http://d.hatena.ne.jp/acropotamia/20080723

意見交換会」は保護者の立場と講師の立場で聞いていました。


これまた流れで、美術館で開催中の『アヴァンギャルド・チャイナ』を観てきました。
入り口近くで上映されていた、多分ですが「文革」の頃を彷佛させる映像と逞しい労働者の彫刻二体に、一瞬にして中国の近現代史が圧縮されてしまって(大して知らないのですが)打ちのめされ、ぐいぐいと館の中へひっぱられていきました。

気に入ったのは「新刻度小組(シンカドゥ・グループ)」。二千ページもあろうかという白い討議書(?)が白い机の上に三冊並べてあって、それを手袋を借りてペラペラめくらせてもらえるのですが、表、画像、図、漢文、英文、写真、図形、青やき、コピー、の終わり無き繰り返し。パンフレットにあった一部をご紹介しますと、以下のようにあります。

彼らは、徹底した議論により、誰の個性も反映しないある規則を設定します。そして、この規則にもとづいて、点や線を展開させたり、言葉をつなぎ合わせたりしています。彼らの作品は、最終的に結果として残った点や線、意味のないことばの連なりにあるのではありません。誰の個性も反映しないある規則を設定し、制作するという行為自体が作品なのです。

私の感想ではあのフランスの少女に勝てそうにありませんが、ひとまずこちらを紹介して授業に生かせたらな、と思います。

アメリア・アレナス鑑賞教育研修会
http://www.umenokinen.com/html/amelia/report.html